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牛伏山<2020.4.3>

 牛伏山は群馬県高崎市吉井町多比良4457-1にある。平成大合併の前は、単独の吉井町であった。牛伏山の名前はそのときの方が名が知られていた。僕達も吉井町時代に行ったことがある。

合併問題は2003年から始まり、すったもんだの揚句、2008年に住民投票で推進派が僅かに過半数を超え、合併に至った。

 そのときから牛伏山は何となく影が薄くなり、僕も忘れ去っていた。たまたま群馬よみうりのタウン誌に載り、思い出して再訪することにした。問題は新型コロナウイルスの懸念である。不要不急の外出を控えるべきではあったが、広々とした場所で大気の広がりがあるし、山登りで体力維持をするのもいいだろうと判断し、妻と二人で出発した。

 目的地の正式名は、牛伏山自然公園という。昔の道をすっかり忘れてしまい、迷いながらも、なんとか到着した。
 公園の風景は昔の面影はなく、沢山の見るべき施設も増えていた。先ずは牛伏山展望台。1990年に落成した二層三階建の展望台で、一、二階は地元の商工業製品や文化資料等の展示になっている。展望台からは上毛三山、関東平野を望む大パノラマである。


牛伏山展望台

 展望台の建っている周囲は舗装されていて、地上からもパノラマは見られる。


牛伏山南面


施設案内板

 ちょうどソメイヨシノが満開であった。施設案内板を見ると、ここから西に向かって山の尾根道を緩やかに登って行く。中央の大きな鉄塔は、FM群馬牛伏山送信所。次が移動無線センター牛伏山中継所。奥の鉄塔が、NHK牛伏山中継所。尾根道にはソメイヨシノが植えられているので方向が分りやすい。


尾根道の風景

 桜が散る頃には芽吹きが始まり、針葉樹の濃緑と相俟って、薄緑色の若葉に覆われていくだろう。いまは木の間越しに下界のパノラマが展望できる。5月上旬にはヤエザクラ・6月中旬から7月上旬には、アジサイの季節が訪れる。

 尾根道の随所に色々なものがある。自然石の上に乗っかっているのは、「青い山脈」の歌碑が立っている。


「青い山脈」歌碑

 すぐ脇には解説板が立っている。

 そこから坂道を上がって行くと、一枚岩を刻んだと思われる臥牛の石像があった。
 傍に説明板があり要約すると、松の木に住んでいた天狗が若者に姿を変えて牛に乗って恋した村娘に会いにいった。しかし娘は見向きもしないので、娘を山の姿に変えてしまったという。時を経て、山は臥牛の姿に変り、牛伏山と呼ばれるようになった。一方、天狗の住んでいた松は天狗松と呼ぶようになったという。


牛伏像

天狗松

 その直ぐ上に琴平神社がある。神社に鐘楼があるとは不思議に思ったが、周囲を見ると鐘楼の左側に「洞窟観音」と書かれた看板が立っていた。斜めに下って行く道があり、15m程行くと右側に大きなトンネルがあった。左右の壁には成るほど仏像が鎮座している。先程の鐘楼は、このための物だったのだと納得した。


鐘楼

 トンネルは、その先まで伸びていて、向うから明るい光が差し込んでいるから、どうやら尾根の下を貫通させているのだろう。トンネルの中間から向こう側は立入り禁止になっていた。


左壁


右壁

 鐘楼の先には琴平神社がある。小さいので祠という感じだ。


琴平神社

 そして、牛伏山の頂上に着いた。とは言っても、標高は490.5mだから高台のような雰囲気である。牛伏山は万葉集には多胡嶺と詠まれ、東西二峰からなり、その姿が臥牛に似ていることから、江戸時代から牛伏山と呼ばれているそうだ。二峰とは最初に見た東の展望台と、西側にあるこの標高点を指す。


牛伏山頂上

 下山の尾根道にはミツバツツジが咲いていた。

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