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八ッ場ダム/シリーズ13<2019.10.31>
ーダム建設に翻弄される長野原町ー

<初めに>
 国交省はダム本体の完成によって、次の手順として11月1日試験湛水を開始した。試験湛水とは最高水位の標高583mまで水をためた後、最低水位の536m地点まで下げる。このことによって、ダム本体の安全性のほか、貯水池周辺の斜面で地滑りが起きる危険性がないか、計器などで確かめる。
 最高水位に達するには3〜4箇月かかるとみられ、その後は1日1mずつ下げていくというスケジュールである。
 ダムの底に沈むエリアには旧JR吾妻線の陸橋や旧国道145号の路面が残るが、貯水に影響はないという。

<台風19号>
 ところが、とんだハプニングが起こった。台風19号の発生である。10月11日から13日にかけて群馬県に記録的な大雨をもたらした。試験湛水のスケジュールをあざ笑うかのようにダム上流側から大量の洪水が押寄せ、ほぼ満水状態になった。このため、13日午後4時から放流を実施した。 

10月17日には自民党の二階幹事長が急遽来県、ほぼ満水となった八ッ場ダムを視察。山本一太知事は、「八ッ場ダムが一定の効果をあげた」と、国土強靭化の必要性を訴えた。
 讀賣新聞が18〜20日に行なった全国の世論調査では、ダムや堤防などの整備を今よりも「力を入れるべきだ」と答えた人は85%に上ったという。

<10月31日の水位>
 左岸水際の草が枯れて変色している線まで水位が上がった。遠くに八ッ場大橋が見える。


不動大橋から下流側

 岬の下部水際を見ると、草が枯れた線まで19号台風で水位が上がったのである。


不動大橋から八ッ場大橋

 ダムの上流側。水位はほぼ満水状態。


ダム湖

 八ッ場大橋を左岸に渡り、見放台に昇ると眼下にダム天端が見える。泥水がはっきり分る。写真の右下隅に見えるのは、流木を処理する為の網場(あば)である。左の建物は管理事務所。


見放台から

 管理事務所の周囲はまだ工事が続いている。


見放台から

 再び八ッ場大橋を右岸に渡り、川原湯湖畔公園からダム上部を間近に見る。天端でも工事が続いている。


川原湯湖畔公園から

 流木等を処理する網場(あば)と呼ばれる茶色の玉の連なりが、湖面に弧を描いている。
 管理事務所の後方、弧を描いている斜面のトップに見えるのは、遠隔制御用のアンテナと思われる。


流木等を処理する網場(あば)

 ダム下流側から見た映像。放流水が滔々と吾妻峡に流れ落ちている。まるで爆音のように耳をつんざく激しさだ。写真右側の枝越しに見える建物は、群馬県企業局の発電所でクレーンが稼動中である。
 一方、天端の2箇所には、エレベーターの建屋も工事中である。


ダム下流側

 川原湯湖畔公園の背後は、急斜面の山になっている。道なき道を藪漕ぎして沢沿いを上って行くと、長野原町と東吾妻町との境界尾根に、送電鉄塔が建っていた。あたかも展望台とも言える趣だ。ダム湖の様相がよく分かる。


ダム上流側

<第一小学校 遂に廃校>
 シリーズ12号で『八ッ場-小学校統廃合論-再燃』のことを採り上げたが、遂に長野原町立第一小学校は、児童減少を理由に2021年度に中央小学校と統合し、廃校になることにほぼ決定した。

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